台風が来る前の水まわりの備え|断水・停電・浸水に困らない準備リスト

台風が近づくたびに、なんとなく食料と懐中電灯だけ用意して、あとは通り過ぎるのを祈る——毎年それを繰り返しているなら、今年は水まわりの備えを一度きちんと組んでおきましょう。台風で本当に生活が止まるのは、風で物が飛ぶことよりも、水が出ない・トイレが流せない・お湯が使えない・排水が逆流してくるといった水まわりのトラブルです。しかもこれらは、来てから慌てても間に合いません。大事なのは、台風が来る前の時間を、順番どおりに使うこと。48時間前にやること、停電・断水してからやること、過ぎた後に点検すること——時系列で一つずつ置いていけば、当日はほとんど困りません。この記事では、水道の現場で説明しているのと同じ順番で、飲み水と生活用水の備え方から、トイレの逆流防止、止水栓の確認までを、あなたが今夜そのまま動けるリストにしてまとめます。脅すためではありません。順番に備えれば困らない——それを具体的に示すのが目的です。
・台風で水まわりが困る正体は「断水・停電・下水の逆流・浸水」の4つ
・備えは時系列。48〜24時間前/停電・断水したら/過ぎた後、の順で動く
・最優先は「飲み水と生活用水(浴槽に水を張る)」と「トイレの逆流を防ぐ水のう」
・止水栓・元栓・給湯器の位置は、晴れているうちに確認しておく
なぜ台風で、水まわりがこんなに困るのか
備えの前に、台風で水まわりの何が起きるのかを、正体として押さえてください。ここが分かると、この先の準備リストの一つひとつに意味が通ります。台風で家の水が困る原因は、大きく4つに分けられます。
- 断水:台風による停電や設備事故、水道管の破損で、地域全体、あるいはマンションの給水が止まります。とくにマンションやアパートは、いったん屋上や地下の水槽に水をためてから各戸へ配る建物が多く、その水を押し上げる給水ポンプが停電で止まると、断水と同じ状態になります。「地域は断水していないのに、うちのマンションだけ水が出ない」はこれです。
- 停電:断水を招くだけでなく、水まわりの機器そのものを止めます。タンクレストイレ、温水洗浄便座、エコキュートや電気給湯器は、電気が無いと通常どおりには動きません。お湯も、電源が要るタイプの給湯器は使えなくなります。
- 下水の逆流:短時間の猛烈な雨で、道路の下を走る下水の本管が満杯になると、あなたの家の水が呑み込まれず、いちばん低い排水口(1階のトイレ・浴室・洗濯機の床排水)から汚れた水が逆に上がってきます。
- 浸水:道路の冠水や川の増水で、床下・床上に水が入ってきます。ここまで来ると、水まわりの心配より前に、身の安全の問題になります。
やっかいなのは、これらが同時に、連鎖して起きることです。停電でポンプが止まって断水し、同じ豪雨で下水が逆流し、さらに浸水が迫る——台風の夜は、この重なりが一気に来ます。だからこそ、当日その場で全部に対応しようとすると、必ず後手に回ります。答えは決まっていて、「時間のあるうちに、時系列で一つずつ置いておく」こと。次章から、その順番を具体的に組んでいきます。愛知・岐阜・三重は木曽三川の流域に海抜の低い土地が広がり、逆流や浸水が起きやすい地域でもあります。地形として、備えておく意味の大きい土地です。
備えは「時系列」で決まっている——全体像を先につかむ
個別の準備に入る前に、全体の流れを頭に入れてください。台風の水まわり対策は、やることが時間ごとに決まっています。順番を間違えなければ、それぞれは数十分で終わる作業ばかりです。
- 【台風が来る前・48〜24時間前】ここが本番です。飲み水と生活用水を備える/トイレの逆流を防ぐ水のうを用意する/屋外の桝・側溝・雨どいを掃除する/止水栓・元栓・給湯器の位置を確認する/貴重品・家電・車を高い場所へ上げる。晴れているうち、風雨が強まる前に済ませるのが鉄則です。
- 【停電・断水したら】タンクレストイレや給湯器・エコキュートを正しく扱う/断水中のトイレの流し方と、ためた水の使い方を守る。ここは「あるものでしのぐ」フェーズです。
- 【浸水しそう・したら】設備や家財より命が最優先。防ぐ作業から、身を守る行動へ切り替える線引きを、先に決めておく。
- 【台風が過ぎた後】下水臭・濁り水・漏れがないかを点検し、自分で直せる範囲と、業者を呼ぶラインを見分ける。
この4つのうち、いちばん効くのは①です。台風対策の9割は、来る前の準備で決まります。②以降は、①をやっておけば「あるものでしのげる」状態になり、やっておかなければ「何も無い中で慌てる」状態になる。同じ台風でも、48時間前の一時間の使い方で、当日の困り方がまるで変わります。まずは①から、一つずつ見ていきましょう。なお、雨がすでに降り出して排水が逆流し始めている「最中」の動き方は、大雨・台風で排水が逆流する時の順番にまとめています。この記事は、その一歩手前——逆流や断水が起きる前にやっておくことに絞ります。

【48〜24時間前①】飲み水と生活用水を「分けて」備える
断水でいちばん困るのは、飲み水よりむしろトイレや手洗いに使う生活用水です。ここを分けて考えるのが、備えのコツです。水は用途で2種類に分けて用意してください。
- 飲み水・調理用(きれいな水):ペットボトルの水を備蓄します。防災の一般的な目安は1人1日あたり3リットル、最低3日分。4人家族なら3リットル×4人×3日で36リットル(2リットル×18本)が一つの目安です。台風は数日で通り過ぎることが多いので、これだけあれば飲み・調理はしのげます。
- 生活用水(トイレ・手洗い・掃除用の水):飲めなくてよい水です。いちばん手早く大量に確保できるのが、浴槽に水を張っておく方法。一般的な家庭用の浴槽は満水で約180〜200リットル入り、これだけあればトイレを何度も流せます。台風が近づく予報が出たら、お風呂の残り湯を捨てず、さらに新しく張り足しておくと安心です。
あわせて、次も用意しておくと生活用水の幅が広がります。
- バケツ2〜3個とペットボトルの空き容器:浴槽の水をトイレに運ぶ、雨水を受ける、といった用途に使います。フタ付きのポリタンクがあれば、飲み水と分けて生活用水をためておけます。
- ウェットティッシュ・アルコール・紙皿・ラップ:断水中は手や食器を洗う水を節約したいので、水を使わずに済ませる道具をそろえておくと、ためた水を長く持たせられます。皿にラップを敷いて使えば、洗い物がほぼ出ません。
ポイントは、きれいな水(飲用)と、そうでない水(生活用)をはっきり分けておくことです。全部を飲めるペットボトルで用意するのは量的に無理があり、逆に全部を浴槽の水でまかなうと衛生的に不安が残ります。飲む水は買って備え、流す・洗う水は浴槽にためる——この役割分担が、断水を一番ラクに乗り切る形です。断水そのものの原因の切り分けや、断水中の生活の工夫は断水・水が出ない時の対処で詳しく扱っています。
【48〜24時間前②】トイレの逆流を防ぐ「水のう」を用意する
豪雨で下水の本管が満杯になると、1階のトイレや床の排水口から汚れた水が逆流してくることがあります。これを防ぐのが簡易水のうです。特別な道具は要りません。家にあるゴミ袋と水で作れて、風雨が強まる前にセットしておけます。作り方と置き方を覚えてください。
- 水のうを作る:40〜45リットルの厚手のゴミ袋を二重にし、中に水を半分ほど(持てる重さまで)入れて、空気を抜いて口をしっかり縛ります。これを、必要な排水口の数だけ用意します。
- 1階のトイレの便器に置く:便器の中に水のうを一つ沈めるように置き、逆流してくる水を重みで押さえます。
- 浴室・洗濯機・ベランダの床排水にのせる:低い場所ほど逆流の出口になりやすいので、1階から優先してふさぎます。
- キッチン・洗面のシンクにも:排水口に水のうをのせるか、なければ濡らしたタオルを丸めて詰め、その上に重しをのせます。
大事なのは、逆流のサイン(トイレがゴボゴボ鳴る、水位が上がる)が出てから慌てて作るのでなく、強い雨の予報が出た段階で、先に置いておくことです。玄関や勝手口など、水が入りやすい低い開口部の前に水のうを積めば、簡易の土のう代わりにもなります。厚手のゴミ袋・ゴム手袋・長靴・懐中電灯を「台風セット」としてひとまとめにしておくと、毎回ゼロから探さずに済みます。逆流が実際に始まった時の動き方は大雨・台風で排水が逆流する時の順番、ゴボゴボ音の仕組みそのものは排水のゴボゴボ音・逆流の原因にまとめています。
【48〜24時間前③】屋外の桝・側溝・雨どいを掃除しておく
意外と見落とされがちですが、台風の前に屋外の水の通り道を掃除しておくだけで、逆流や浸水のリスクは目に見えて下がります。普段流れているところが、いざ大雨になると詰まってあふれる——その芽を、晴れているうちに摘んでおきます。次の3か所を点検してください。
- 屋外の排水桝(ます):地面にある四角いフタの中を開けて確認します。油の固まり、汚泥、落ち葉、木の根などがたまっていると、大雨のときに水がスムーズに流れず、逆流や詰まりの引き金になります。落ち葉やゴミが浮いている程度なら取り除き、フタがずれていれば正しく閉め直します。桝の掃除の手順と、家庭でできる限界は排水桝(ます)の掃除方法にまとめています。
- 側溝・排水溝(そっこう):家の周りやガレージ前の側溝に落ち葉や土がたまっていると、雨水があふれて敷地に流れ込みます。フタを外せる範囲で泥や落ち葉をかき出し、水がスムーズに流れるようにしておきます。
- 雨どい(あまどい)と屋根の集水口:雨どいが落ち葉で詰まっていると、屋根の雨水があふれて外壁や基礎まわりに集中し、地面の浸水を招きます。手が届く範囲で詰まりを取り除いてください。高所の作業は無理をしないこと。屋根に登る・不安定な脚立に乗るのは、台風前でも危険です。届かない場所は、晴れた別の日に専門業者へ。
この掃除は、台風の直前でなくても構いません。むしろ台風シーズンに入る前や、秋の落ち葉の時期に一度やっておくと、毎回の台風で慌てずに済みます。屋外の水の通り道が空いているかどうかは、当日の逆流・浸水の起きやすさを大きく左右します。地味ですが、効果の大きい備えです。
【48〜24時間前④】止水栓・元栓・給湯器の位置を確認しておく
台風の最中や過ぎた後に、水漏れや破損が起きることがあります。そのとき水を自分で止められるかどうかで、被害の大きさが変わります。晴れているうち、明るいうちに、次の場所を確認しておいてください。いざという時、暗い中・雨の中で探すのは、想像以上に大変です。
- 家全体の元栓(水道メーターの脇の止水栓):屋外の地面にある水道メーターのボックスの中に、家全体の水を止める元栓があります。フタを開けて、バルブ(ハンドルやレバー)の位置を確認し、時計回りで閉まることを覚えておきます。長年触っていないと固くなっていることがあるので、動くかどうかも見ておきます。ここを閉めれば、宅内のどこで漏れても水を止められます。
- 各所の止水栓:トイレ(床や壁から便器へ伸びる管の途中)、キッチン・洗面のシンク下、洗濯機の蛇口など、水まわりごとに止水栓があります。その水まわりだけを止めたいときに使います。場所を一度見ておくだけで十分です。
- 給湯器・エコキュートの位置と種類:屋外に置かれた給湯器やエコキュートのタンクの場所、そして電源が要るタイプかどうかを確認します。取扱説明書を出しやすい場所に置いておくと、停電時・浸水時の扱いを確認できます。
- ガスの元栓・分電盤(ブレーカー)の位置:水まわりではありませんが、浸水時に電気を切る、ガスを止める、という判断のために、位置を家族全員が知っておくと安全です。
確認のポイントは、「自分が動かせるか」を実際に試しておくことです。位置を知っているだけでなく、固くて回らない元栓がないか、フタが開くか、まで見ておく。もし元栓が固着して回らない、フタが割れている、といった問題が見つかったら、それこそ晴れているうちに直しておくべきサインです。止水栓・元栓の見つけ方と閉め方は水の止め方ガイドにもまとめています。
【48〜24時間前⑤】貴重品・家電・車を高い場所へ上げる
浸水のおそれがある地域では、水が入る前に濡らしたくないものを上へ逃がしておくことも、水まわりの備えと一体で進めます。床上まで水が来てから動くのでは間に合いません。次の順で、風雨が強まる前に済ませてください。
- 1階の電化製品を上げる・持ち上げる:コンセントまわりの家電、延長コード、電源タップは、水に浸かると感電や故障の原因になります。台や棚の上、2階へ移せるものは移し、動かせない大型家電は、可能ならレンガや台で少し底上げしておきます。
- 貴重品・思い出の品・重要書類:通帳・印鑑・保険証券・パソコン・写真など、失うと困るものは2階や高い棚へ。防水袋やジップ袋に入れておくとより安心です。
- 車を高い場所へ移す:冠水しやすい低地や地下・半地下の駐車場に車を置いているなら、浸水想定のない高い場所へ早めに移動します。冠水した道路は深さが分からず、移動そのものが危険になるため、判断は早めに。
- 屋外の飛びそうな物を片づける:植木鉢・物干し竿・ゴミ箱など、風で飛ぶものは室内や物置へ。水まわりでは、屋外に出したバケツや掃除道具も飛ばされないようにまとめておきます。
ここでハザードマップを一度見ておくと、備えの優先順位がはっきりします。愛知・岐阜・三重の低地では、市区町村が浸水想定のハザードマップを公開しています。自宅がどの程度の浸水想定なのかを知っておけば、「うちはどこまでやるべきか」の判断がつきます。浸水想定の浅い地域なら家電の底上げ程度で十分ですし、深い想定の地域なら車の移動や2階への垂直避難まで視野に入れておく——地域によって、かけるべき手間が変わります。
【停電・断水したら①】タンクレストイレ・給湯器・エコキュートの扱い
ここからは、実際に停電や断水が起きた後のフェーズです。準備さえしてあれば、あるものでしのげます。まず、電気で動く水まわり機器の扱いを間違えないでください。慌てて操作すると、かえって機器を傷めます。
- タンクレストイレ:電気の力で水を流す仕組みのため、停電すると通常のボタンでは流せません。ただし多くの機種には、停電時に手動で流すための方法(本体横のカバー内のレバーや、付属の道具を使う操作)が用意されています。取扱説明書で「停電時の流し方」を確認してください。分からなければ、後述のバケツで流す方法に切り替えます。断水していて水そのものが無い場合は、ためた生活用水を使います。
- 温水洗浄便座(ウォシュレット等):停電中は洗浄・乾燥などの電気機能は使えませんが、便器で用を足すこと自体は問題ありません。水があれば流せます。復電後、便座の電源が入るか確認します。
- エコキュート・電気温水器:停電中は湯を沸かせませんが、タンクに残っているお湯は生活用水として使えることがあります(飲用は避け、手洗いや掃除に)。使い方は機種で異なるため、取扱説明書の「非常用取水」の項を確認してください。断水時は、タンクへの給水が止まるため、通電が戻ってもすぐには使えない場合があります。
- ガス給湯器:多くは電源(コンセント)が必要で、停電するとお湯も水も出ないタイプが一般的です。停電中は使えないと考え、復電したら正常に着火するかを確認します。浸水した給湯器は、乾いても内部が傷んでいることがあるため、通電・点火の前に点検が必要です。
共通する原則は、停電中に無理な操作を繰り返さないこと、そして浸水した電気機器を、乾いたからといって自己判断で通電しないことです。水に浸かった給湯器やポンプは、内部でショートしている可能性があります。復旧後の扱いに迷ったら、メーカーや業者に確認してください。給湯器のトラブルの見分け方はエコキュートのお湯まわりのトラブルでも扱っています。
【停電・断水したら②】断水中のトイレの流し方と、水の使い方
断水でいちばん切実なのがトイレです。備えた生活用水(浴槽の水)があれば、断水中でもトイレは流せます。正しい流し方を覚えてください。やり方を間違えると、逆に詰まらせてしまいます。
- バケツ1杯(6〜8リットルほど)の水を、便器のボウルに一気に流し込む:勢いよく注ぐことで、水の力で汚物を排水管へ押し流します。ちょろちょろ注ぐと流れきらないので、ある程度の勢いが大事です。1回目で流れきらないときは、続けてもう1杯を注ぎます。
- 数回に1回、静かにバケツ1杯を足して封水を保つ:便器の底には常に水がたまっている「封水」があり、これが下水の臭いを止めています。勢いよく流した後、最後に静かに水を足しておくと、封水が保たれて臭いが上がりません。
- 大量の水を一度に流しすぎない:一気に注ぐのは「1回分」の量まで。何杯も連続で無理に流すと、逆流や詰まりの原因になります。
気をつけたいこと:集合住宅で、下の階や配管の状況が分からないときは、断水中にバケツで流すのを避けたほうがよい場合があります。上の階から流した水が、下の階の詰まりや工事の状況によっては逆流やトラブルにつながることがあるためです。マンションでは、管理会社や掲示の指示に従ってください。どうしても流せない状況が続くなら、携帯トイレ・簡易トイレを備えておくのが確実です。便器に袋をかぶせて凝固剤で固めるタイプは、水を一切使わずに済み、断水が長引いても衛生的に対応できます。台風セットに数回分入れておくと安心です。
水の使い方の全体では、飲む水は節約せず、流す・洗う水を工夫して減らすのが基本です。手洗いはウェットティッシュやアルコールで代え、食器はラップを敷いて洗い物を減らす。ためた生活用水は、優先順位をトイレ>掃除>その他と決めておくと、断水が長引いても慌てません。
【浸水しそう・したら】人命最優先の線引きを、先に決めておく
水のうや備蓄でしのげるのは、あくまで浸水が始まる前までです。床に水が上がってきたら、フェーズが変わります。ここからは設備や家財より、あなたと家族の命が最優先。この線引きだけは、台風が来る前に頭に入れておいてください。
- 水に足を踏み入れる前に電気を切る:浸水した床に電気が漏れていると感電の危険があります。安全に手が届くなら、分電盤(ブレーカー)を落とします。分電盤が濡れている・手が届かない・少しでも不安があるなら、無理に触らず、それ以上その場に留まらないでください。
- コンセントや電化製品に濡れた手で触れない:水に浸かった家電は通電させず、あとで点検します。
- 逆流してくる汚水には素肌で触れない:下水を含んだ水です。長靴・ゴム手袋があれば着け、なければ肌の露出を避けます。
- 床上まで水が来る・来そうなら、上階か外へ避難する:夜間や増水時に無理に外へ出るとかえって危険なこともあります。まず建物の高いところ(2階など)へ垂直に避難し、自治体の避難情報・防災無線・スマートフォンの警報に従ってください。
- 冠水した道路を車で移動しない:深さが分からず、水没やエンジン停止の危険があります。
この段階で最も危ないのは、「まだ何とかなる」と設備の作業や家財の移動に固執することです。水のうやタオルは、あくまで浸水前の防御。水が床上に及んだら、防ぐ作業から身を守る行動へ、ためらわず切り替えてください。命に危険が及ぶ状況では、消防(119番)やお住まいの自治体の窓口が優先です。水道業者は、水が引いてからの復旧で力になれます。順番は、命→避難→復旧。この順序を、家族で共有しておいてください。
マンションと戸建てで、備えが変わるところ
同じ台風でも、住まいがマンション(集合住宅)か戸建てかで、注意する点が変わります。自分の住まいに合わせて、備えの重点をずらしてください。
マンション・アパートで特に注意すること
- 停電による断水:屋上や地下の水槽に水をためて各戸へ配る建物では、給水ポンプが停電で止まると、地域が断水していなくても水が出なくなります。マンション住まいは、この「停電=断水」を前提に、飲み水と生活用水をしっかり備えておくことが特に大事です。
- 高層階ほど断水の影響が大きい:ポンプで水を押し上げているため、上階ほど水が止まりやすく、復旧も遅れがちです。エレベーターも止まるため、断水時に階下から水を運ぶのは大変です。上階の方ほど、事前の備蓄量を多めに見ておきます。
- 断水中のトイレは管理会社の指示に従う:共用の排水管を全戸で使っているため、断水中に各戸が勝手にバケツで流すと、詰まりや逆流を招くことがあります。掲示や管理会社の案内を確認してください。
- 専有部か共用部か:水漏れや逆流が起きたとき、原因が共用の配管なら管理側の対応範囲です。まず管理会社へ連絡します。
戸建てで特に注意すること
- 屋外の桝・側溝・雨どいの掃除:屋外の水の通り道を自分で管理する立場なので、事前の掃除がそのまま逆流・浸水対策になります。前章の屋外掃除は、戸建てほど効果が大きい備えです。
- 1階の床排水の逆流対策:低い土地の戸建ては、1階のトイレ・浴室・洗濯機の床排水から逆流しやすいため、水のうを1階中心にしっかりセットします。
- 屋外の給湯器・エコキュートの浸水:地面に据え付けた機器が浸水すると故障します。浸水想定のある地域では、機器の位置と、浸水後は通電前に点検が要ることを覚えておきます。
- 逆流防止弁の検討:過去に逆流したことのある低地の戸建てでは、排水の逆止弁の設置という根本的な備えもあります。取り付けの可否は現地で確認します。
まとめると、マンションは「停電による断水」への備蓄、戸建ては「屋外の掃除と逆流対策」に重点を置く、と覚えておけば大きく外しません。
【台風が過ぎた後】水まわりの点検チェックと、業者を呼ぶライン
台風が通り過ぎ、水が引いたら、片づける前に水まわりを点検してください。表面が元どおりに見えても、内部にダメージが残っていることがあります。次の順でチェックします。
- 水道が出るか、水に濁りや異臭がないか:断水明けは、水道管の中の空気や、たまっていた濁りが出ることがあります。いちばん低い蛇口から少し水を出して、透明になるまで流す(エア抜き・濁り流し)と、きれいな水に戻ります。しばらく流しても濁りが取れない、金気臭・カビ臭が強いときは、宅内配管や貯水槽側の点検が必要です。
- 排水がスムーズに流れるか、ゴボゴボ鳴らないか:逆流のあとは、運ばれてきた泥やゴミが宅内の配管・排水桝に残っていることがあります。少量ずつ水を流して、スムーズに引くかを確認します。引きが悪い・音が続くなら、詰まりが残っているサインです。
- 下水の臭いが残っていないか:逆流や浸水で床下・壁の中まで濡れると、乾いても下水臭が残ることがあります。時間がたっても消えない臭いの原因の絞り込みは家じゅうが下水くさい時の突き止め方が役立ちます。
- 水漏れがないか:台風の揺れや浸水で、蛇口・給湯器・配管の接続部がゆるむことがあります。床が濡れている、メーターが使っていないのに回っている、といった水漏れのサインを確認します。
- 浸水した機器は通電前に点検する:水に浸かった給湯器・ポンプ・電気温水器は、乾いても自己判断で通電しないこと。ショートや発火のおそれがあります。
次のどれかに当てはまるなら、無理をせず相談したほうが確実です。
- 断水明けに水を流しても、濁りや異臭が取れない
- 排水の引きが悪い・ゴボゴボ音が続く/宅地の排水桝が泥で詰まって自分では取りきれない
- 蛇口・配管・給湯器から水漏れしている
- 浸水した給湯器・ポンプの復旧の可否を確認したい
- 時間がたっても下水臭が消えない
なお、道路のマンホールから水があふれていた・下水が噴いていた場合は、公共の下水本管側の問題なので、お住まいの市区町村の下水道担当窓口が対応窓口です。宅地の境界の内側(自宅の配管・宅地ます)は水道業者、外側(道路の本管・公共ます)は自治体、と切り分けてください。
やってはいけないこと
台風の水まわり対策で、「よかれと思って」やってかえって危険だったり、被害を広げたりする典型があります。次はやらないでください。
- 逆流のサインが出てから、水を流して押し返そうとする:トイレや洗濯機で水を流しても、本管が満杯なら行き場がなく、逆流を早めるだけです。サインが出たら流すのをやめる、が正解です。
- 浸水した床に、電気を切らずに踏み込む:感電の危険があります。ブレーカーを落とせないなら、その場に留まらないでください。
- 浸水した給湯器・家電を、乾いたからと自己判断で通電する:内部でショートしている可能性があります。点検してから使ってください。
- 断水中のトイレに、ちょろちょろと水を足すだけで済ませる:勢いが足りないと汚物が流れきらず、詰まりの原因になります。流すときは一気に、が原則です。
- 集合住宅で、管理の指示を確認せずバケツで流し続ける:共用配管の状況によっては、詰まりや逆流を招きます。掲示や管理会社の案内を確認してください。
- 台風のさなかに、屋根や高所へ登って雨どいを掃除する:転落の危険があります。屋外の掃除は、必ず風雨が強まる前・晴れているうちに。
- 浸水の掃除を、写真を撮る前に始めてしまう:火災保険の水災補償や、自治体のり災証明の申請で、被害の記録が必要になることがあります。片づける前に、浸水の高さや被害を写真・動画で残しておいてください。
共通する原則は一つ。台風の最中は「防ぐ・身を守る」だけに徹し、直す作業と片づけは水が引いてから、記録を残してから。慌てて手を出すほど、被害と費用は増えます。
費用の目安と、業者に頼むと早いこと
台風の備えそのものは、水のうも浴槽の水も0円でできます。費用が発生するのは、台風で残った詰まり・逆流の後始末・水漏れの修理や、再発を防ぐための桝の清掃・逆流防止弁の設置を頼むときです。当社(Lifecare24)の目安は次のとおりです。いずれも税込・出張費と見積もりは0円、深夜早朝の割増はありません。金額は現地の状況で変わる目安で、作業前に必ず総額をご提示してから着手します。
| 作業内容 | 料金の目安(税込) | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 基本料金(出張・見積 0円) | ¥2,200〜 | — |
| 排水つまり除去(逆流後の泥・異物) | ¥8,000〜 | 約30〜60分 |
| 水漏れ修理(接続部・パッキン等) | ¥5,500〜 | 約20〜40分 |
| 屋外の排水桝の清掃 | ¥15,000〜 | 約60〜90分 |
| 排水管の高圧洗浄 | ¥18,000〜 | 約60〜90分 |
提示額以外の追加請求や、着手前のキャンセル料はありません。台風シーズンの前に、屋外の桝の清掃や、固くて回らない元栓の点検を済ませておくと、当日の備えがぐっとラクになります。「台風のたびに逆流して不安」という低地の戸建てなら、逆流防止弁の設置という根本対策も相談できます。作業別の相場観は水道修理の料金相場まとめ、いますぐの応急処置は応急処置ガイド、水の止め方は水の止め方ガイドもあわせてご覧ください。愛知・岐阜・三重(対応エリア拡大中)で、Lifecare24が水道局指定工事店として、出張・見積0円・追加請求なしで対応します。
よくある質問
Q. 台風の前に、まず何から備えればいいですか?
水です。飲み水はペットボトルで1人1日3リットル×3日分を目安に、生活用水は浴槽に水を張っておきます(満水で約180〜200リットル)。この2つを分けて用意しておくだけで、断水しても飲み・流す・洗うがしのげます。あわせて、1階のトイレと床排水に置く水のうを準備しておくと安心です。
Q. 浴槽に水を張ると、小さな子どもがいて危なくないですか?
その心配があるご家庭では、浴室の扉に鍵をかける、フタをしっかり閉める、といった対策を取るか、フタ付きのポリタンクやバケツに小分けしてためる方法に切り替えてください。安全を優先し、無理に浴槽を満水にする必要はありません。
Q. 停電するとトイレは流せなくなりますか?
タンクレストイレは電気で流すため、停電時は通常のボタンでは流せません。多くの機種に手動で流す方法があるので、取扱説明書で確認してください。分からなければ、バケツ1杯(6〜8リットル)の水を勢いよく便器に流し込めば流せます。タンク付きのトイレは、タンクに水が残っていれば1回は流せます。
Q. 断水したとき、トイレはどう流すのが正しいですか?
ためておいた生活用水を、バケツ1杯分、便器のボウルに一気に注ぎます。勢いで汚物を押し流すのがコツで、ちょろちょろ注ぐと流れきりません。最後に静かに水を足して封水(底の水たまり)を保つと、臭いも上がりません。集合住宅では管理会社の指示を確認してください。
Q. マンションですが、地域は断水していないのに水が出ません。
停電で給水ポンプが止まっている可能性が高いです。屋上や地下の水槽から各戸へ水を押し上げる建物では、停電=断水になります。復電すれば戻ることが多いので、それまでは備えた水でしのいでください。高層階ほど影響が大きく出ます。
Q. 台風が過ぎた後、水道の水が濁っています。飲んでも大丈夫ですか?
断水明けは、管の中の空気やたまっていた濁りが出ることがあります。いちばん低い蛇口から、透明になるまでしばらく水を流してください(エア抜き・濁り流し)。透明に戻れば使えます。長く流しても濁りや異臭が取れないときは、飲用を控えて点検を依頼してください。
Q. 賃貸・マンションで浸水や逆流の被害が出ました。費用は誰が負担しますか?
まず管理会社・大家さんへ連絡してください。共用の排水管(縦管)や建物側の設備が原因なら管理側の範囲になることが多く、専有部か共用部かで負担者が変わります。あわせて、被害の写真・動画を片づける前に残しておいてください。
まとめ|保存版・台風前の水まわり準備リスト
台風で水まわりが困るのは、断水・停電・下水の逆流・浸水の4つ。そのどれも、来てから慌てるのでなく、時間のあるうちに順番どおり備えれば、当日ほとんど困りません。最後に、この順で覚えておいてください。
- 【48〜24時間前・飲み水】ペットボトルで1人1日3リットル×3日分を備える
- 【48〜24時間前・生活用水】浴槽に水を張る(満水で約180〜200リットル)+バケツを用意
- 【48〜24時間前・逆流対策】厚手のゴミ袋で水のうを作り、1階のトイレ・床排水にセット
- 【48〜24時間前・屋外】排水桝・側溝・雨どいの落ち葉やゴミを掃除しておく(高所は無理をしない)
- 【48〜24時間前・確認】元栓・止水栓・給湯器の位置を、明るいうちに確認しておく
- 【48〜24時間前・退避】1階の家電・貴重品・車を高い場所へ。ハザードマップで浸水想定を確認
- 【停電・断水したら】タンクレストイレは手動で、断水中はバケツ1杯を勢いよく。携帯トイレも備えると安心
- 【浸水しそう・したら】命が最優先。安全ならブレーカーを落とし、危なければ垂直避難
- 【過ぎた後】濁り水を流し切り、排水・水漏れ・下水臭を点検。片づけ前に写真を残す
これらは、どれも数十分でできる備えばかりです。とくにマンションは「停電による断水」への備蓄を、戸建ては「屋外の掃除と逆流対策」を重点にすれば、大きく外しません。台風は毎年来ます。一度この準備リストを組んで「台風セット」をまとめておけば、次からは置き場所から出すだけ。「降ってから考える」から「降る前に置いておく」へ——この一手間が、当日の困り方を分けます。
台風の後で、排水の逆流が残った・水漏れが出た・下水臭が消えないといった宅内側の症状が残ったら、深追いせず排水・排水口の詰まり・臭い修理から気軽にご相談ください。断水の切り分けは断水・水が出ない時の対処、逆流の最中の動き方は大雨・台風で排水が逆流する時の順番もあわせてどうぞ。愛知・岐阜・三重(対応エリア拡大中)で、Lifecare24が水道局指定工事店として、出張・見積0円・追加請求なしで対応します。脅すためではありません。順番に備えれば、台風の水まわりは、ちゃんと乗り切れます。
関連ページ:断水・水が出ない時の対処 / 大雨・台風で排水が逆流する時の順番 / 応急処置ガイド


