天井の照明のあたりに、見覚えのないシミが広がっている。よく見るとポタ、ポタと水が落ちてくる——。あるいはインターホンが鳴って、下の階の人に「お宅から水が漏れてるみたいなんですが」と言われた瞬間、頭が真っ白になった——。マンションの水漏れは、戸建てと違って上下左右に他人の部屋があるぶん、「自分のせいだったらどうしよう」「弁償はいくらになるんだ」と、被害より先に不安が膨らみます。
でも、最初の30分でやることは、実はとてもシンプルです。①水を受けて被害を広げない、②(自室が原因なら)水を止める、③管理会社に連絡する。この3つだけ。賠償や保険の話は、そのあとで落ち着いて進めれば間に合います。天井から水が来ている側の人も、下の階に迷惑をかけたかもしれない側の人も、この記事の順番どおりに動いてください。
・最初の30分は「受ける・止める・管理会社」の3つだけ・天井からの水=原因は上階や共用部のことが多く、自分で上階に乗り込まない・自室が原因かは「全部の水を止めてメーターを見る」で切り分け・賠償や保険の話をその場で約束しない(保険と管理会社を通す)
最初の30分でやることは3つだけ
水漏れの現場で、いちばんもったいないのは「どうしよう」と立ち尽くしている時間です。考えるのはあとでいい。手を動かす順番は、どんなケースでも共通してこの3つです。
- 受ける:落ちてくる水の下にバケツや洗面器を置き、床には雑巾やレジャーシート。家電・パソコン・コンセントまわりの物を水のかからない場所へ動かす。
- 止める:自分の部屋が原因の可能性があるなら、部屋の水を止める(やり方は後述)。天井から来ている=他所が原因らしき場合は、自分では止められないので次へ。
- 管理会社(または大家さん)に電話する:マンションの水漏れは、原因が自室か・上階か・共用部かで対応する人が変わります。その交通整理をするのが管理会社です。夜間でも、緊急連絡先が契約書や掲示板に書いてあるはずです。
この3つが済んだら、深呼吸してください。ここから先は、もう「一刻を争う」段階ではありません。スマホで被害の写真と動画を撮りながら、落ち着いて進めましょう。
ケースA|天井から水が落ちてくる・シミが広がる(あなたは被害側)
天井からの水は、あなたの部屋の中に原因がないことがほとんどです。考えられるのは、上階の部屋の水漏れ(洗濯機・お風呂・トイレ・給湯器など)、共用部の配管の不具合、雨漏りなど。つまり、あなたにできるのは「被害を減らすこと」と「伝えること」で、原因を直すのは、あなたの仕事ではありません。
- バケツで受け、濡れて困るものを移動する。照明器具の近くから水が出ている場合は、その部屋の照明は使わず、ブレーカーで該当回路を切れるなら切っておくと安心です。
- 写真・動画を撮る:シミの範囲、水の落ち方、濡れた家財。日時がわかる形で残します。あとで保険や賠償の話をするとき、この記録が効きます。
- 管理会社に連絡する:「天井から水が落ちている。範囲はこれくらい。いつ気づいた」を伝える。管理会社が上階への確認や共用部の点検を手配します。
ここで我慢してほしいのが、直接上階に乗り込んで問い詰めることです。気持ちはわかります。でも、原因が上階とは限りませんし(共用部の配管のこともある)、感情的な入り方をすると、その後の話し合いがこじれます。第一報は管理会社経由が、結局いちばん早く解決します。上階の方がすでに気づいて対応中、ということもよくあります。

天井のシミだけで、水が落ちていないとき
「ポタポタは来ていないが、天井にうっすらシミがある」——この段階で気づけたのは、むしろ幸運です。シミは、天井の裏側で水が回っているサインで、原因は上階の生活水・配管のにじみ・雨漏りなどさまざまです。量が少ないから様子見、はおすすめしません。天井裏で少しずつ濡れ続けると、木材や断熱材が傷み、直す範囲が広がっていくからです。
- シミの写真を撮る。日付がわかるように、数日おきに同じ位置から撮ると、広がっているかどうかが客観的にわかります。
- 管理会社に連絡して、天井裏・上階・共用部の確認を依頼する。
- シミの真下に、濡れて困るものを置かないようにしておく。
シミの広がりが止まっているなら、過去の一時的な漏れの跡ということもあります。いずれにせよ、判断は写真を見せて管理会社・専門業者に任せるのが確実です。壁や床下の見えない水の回り方については床下・壁の中の水漏れで詳しく書いています。
ケースB|下の階から「水が漏れている」と言われた(あなたが原因側かも)
インターホン越しの「お宅から漏れてるみたいで」は、心臓に悪い一言です。まず知っておいてほしいのは、下の階に水が出たからといって、原因があなたの部屋とは限らないということ。共用部の配管や、構造的に別の場所から回り込んでいるケースもあります。だから、過剰に謝り倒して「全部弁償します」と言う必要も、逆に「うちじゃない」と突っぱねる必要もありません。やることは淡々と、次の順です。
- 誠実に応対する:「確認します。ご迷惑をおかけしていたらすみません」と受け止め、相手の部屋のどのあたりに・いつから水が出ているかを聞いておく。
- 自室で水を使うのをいったん全部やめる:洗濯機は止め、蛇口を全部閉める。
- 自室が原因かどうかを切り分ける(次の章の方法で)。
- 管理会社に連絡する:下の階から連絡があったこと、自室の確認結果を伝える。原因調査の主導は管理会社に任せます。
大事なのは、その場で賠償の約束をしないこと。冷たいようですが、原因も範囲も金額もわからない段階での口約束は、あなたにとっても相手にとっても、あとでトラブルの種になります。「原因を確認して、管理会社と保険を通してきちんと対応します」——これが、いちばん誠実で、いちばん揉めない答え方です。
自室が原因か、メーターで1分切り分ける
自分の部屋が水漏れの発生源かどうかは、水道メーターを使うと1分で当たりがつきます。マンションのメーターは、多くの場合、玄関横のパイプスペース(メーターボックスの扉の中)にあります。
- 部屋の中の水をすべて止める。蛇口、洗濯機、食洗機、トイレも使っていない状態にする。
- メーターのパイロット(銀色や赤の小さなコマ・羽根車)を見る。
- 水を何も使っていないのにパイロットが回り続けているなら、部屋のどこかで水が漏れ続けているサインです。
- 回っていなければ、少なくとも「今この瞬間、給水側から漏れ続けている」可能性は低い。ただし、排水側の漏れ(排水ホースや排水管からの漏れ)はメーターに出ません。お風呂や洗濯の排水のたびに下で水が出る、というパターンは排水側を疑います。
メーターの見方の詳しい話は水道メーターで水漏れを確認する方法にまとめています。「洗濯をしたときだけ下に水が出るらしい」「お風呂を抜いたタイミングと一致する」など、下の階の症状と自室の水の使い方のタイミングが合うかも、強力な手がかりになります。下の階の方に聞いた「いつ出るか」を思い出してください。
自室が原因のとき|水の止め方
自室からの漏れが疑わしいなら、被害を止めるのが最優先です。止め方は2段階あります。
- 器具ごとの止水栓を閉める:漏れている場所がわかっているなら、その器具の止水栓だけ閉めれば生活への影響が小さい。トイレならタンク横、洗濯機なら給水蛇口、キッチン・洗面はシンク下の収納の中にあります。
- 部屋全体の元栓(バルブ)を閉める:どこから漏れているかわからないときは、玄関横のメーターボックス内にある元栓を閉めます。これで部屋への給水がすべて止まります。マンションでは、自分の部屋の元栓は自分のメーターの手前にあるものを閉めてください。隣の部屋のメーターと並んでいることがあるので、部屋番号の表示を確認してから回します。
閉め方は時計回り。固くて回らないときは、無理にレンチで力任せに回さない(古いバルブは破損して二次被害になります)。回らない場合は管理会社にその旨を伝えてください。場所別の止水栓の探し方は水の止め方ガイドに写真つきでまとめています。なお、共用部が原因の場合や建物全体の断水を伴う操作は、住人が勝手にやってはいけない領域です。そこは管理会社の判断を待ちます。
連絡の順番|管理会社→(賃貸なら大家・保証会社)→保険→業者
マンションの水漏れで迷いがちなのが「どこに、どの順で連絡するか」です。基本の順番はこうです。
- 管理会社(分譲は管理組合の窓口、賃貸は管理会社・大家さん):最優先。原因が専有部か共用部かの切り分け、上下階への連絡、指定の業者の手配など、交通整理はここが起点です。夜間は緊急窓口へ。
- 保険会社(または保険代理店):自分が加入している火災保険・家財保険、そして下の階への賠償に関わる個人賠償責任保険の有無を確認します。連絡は早いほうがよく、「何が補償されるか」を先に把握しておくと、修理や賠償の話がスムーズです。詳しくは水漏れと火災保険の話で整理しています。
- 水道業者:自室の設備(専有部)の修理は、管理会社指定の業者か、自分で呼ぶ業者で行います。賃貸の場合、勝手に修理して費用を請求できないことがあるので、着工前に管理会社・大家さんの了承を取ってください。
「先に業者を呼んで直してしまってから報告」は、費用負担で揉める典型パターンです。緊急で水を止める応急対応は別として、本修理は関係者に話を通してからが原則です。賃貸での費用負担の考え方は賃貸の水漏れ、費用は誰の負担?に詳しく書きました。

誰が費用を負担するのか|一般的な考え方
金額の心配は、頭が真っ白になる大きな理由だと思います。ここでは一般的な整理だけしておきます。個別のケースは契約書と保険の内容で変わるので、断定はしません。
- 原因が共用部(建物の共用配管など):一般に、管理組合(分譲)や貸主側の責任範囲として扱われることが多い領域です。
- 原因が専有部(自室の設備・器具や使い方):一般に、その部屋の側で対応する話になります。下の階への被害は、個人賠償責任保険(火災保険や自動車保険、クレジットカードに特約で付いていることも多い)でカバーされるケースがあります。まず自分の保険を全部洗い出してみてください。
- 賃貸で経年劣化が原因:設備の寿命による故障は借主の過失ではないため、負担の考え方が変わってきます。過失(ホースの付け忘れ、蛇口の閉め忘れ等)かどうかがポイントです。
つまり、「原因がどこか」と「保険に何が付いているか」が決まるまで、負担額は確定しないのです。だからこそ、その場での弁償の口約束は避け、写真と記録を残し、管理会社と保険を通す——この手順が、あなたと相手の両方を守ります。
やってはいけないこと(失敗例)
気が動転しているときほど、やってしまいがちな失敗を挙げます。
- 上階に直接乗り込んで問い詰める:原因が上階と確定していない段階での直談判は、こじれる元。第一報は管理会社経由で。
- その場で「全部弁償します」と約束する:原因も金額も不明のまま口約束すると、保険の手続きや実際の負担の話と食い違ってトラブルになります。誠実な姿勢と、賠償の確約は別ものです。
- 写真を撮らずに片づけ・掃除をしてしまう:被害の証拠が消えると、保険請求や責任の話で不利になります。片づけの前に、必ず撮る。
- 管理会社に知らせず勝手に本修理する:特に賃貸では、費用を負担してもらえるはずのケースでも、事後報告だと揉めます。応急の止水はOK、本修理は話を通してから。
- 濡れた照明・コンセントをそのまま使い続ける:水と電気の組み合わせは危険です。濡れた器具は使わず、必要なら回路のブレーカーを切っておく。
- 「量が少ないから」と天井のシミを放置する:見えない場所で傷みが進み、直す範囲と費用が育ちます。少ないうちに報告するのが結局いちばん安い。
自分で対処できること・業者や管理会社に任せることの判断表
いま目の前の状況を、この表に当てはめてください。
| 状況 | 自分でやること | 任せる相手 |
|---|---|---|
| 天井から水が落ちている | 受ける・記録・家財の移動 | 管理会社(原因調査) |
| 天井にシミだけある | 定点で写真を撮る | 管理会社(天井裏の確認) |
| 下の階から苦情が来た | 水を止める・メーター確認・記録 | 管理会社+自分の保険会社 |
| 自室の器具から漏れている | 止水栓・元栓で止める | 水道業者(賃貸は了承を得てから) |
| メーターが止水しても回る | 元栓を閉める | 水道業者(漏水調査・修理) |
| 元栓・バルブが固くて回らない | —(力任せにしない) | 管理会社・水道業者 |
| 共用部の配管が怪しい | —(触らない) | 管理会社・管理組合 |
自室の設備の修理費の目安は、水漏れ修理で¥5,500〜。一般的な相場でも水漏れ修理は4,000〜18,000円あたりが目安です。当社ライフケア24は水道局指定工事店として、出張・見積0円、作業前に必ず総額をご提示し、あとからの追加請求はありません。深夜・早朝の割増もなし。愛知・岐阜・三重で24時間受け付けています。費用の全体像は水漏れ修理の費用相場をどうぞ。
よくある質問
Q. 夜中に天井から水が落ちてきました。朝まで待っていい?
バケツで受けて家財を逃がしたうえで、管理会社の緊急連絡先には夜のうちに一報を入れてください。水が増えている・照明器具から出ている場合は、待たずに緊急窓口へ。量が少なく安定しているなら、記録を残して朝一番の連絡でも対応はつながります。
Q. 下の階に謝りに行くべきですか?
ご迷惑をかけている可能性がある以上、誠実な声かけは関係をこじらせないために大切です。ただし「原因を確認中であること」「管理会社と保険を通してきちんと対応すること」を伝えるにとどめ、金額や全額弁償の約束はその場でしないでください。
Q. 原因調査の費用は誰が持つのですか?
一般に、共用部が原因なら管理組合・貸主側、専有部が原因ならその部屋側、という整理になることが多いですが、建物の規約や契約によります。調査の前に管理会社に確認するのが確実です。
Q. 個人賠償責任保険に入っているか分かりません。
火災保険・家財保険の証券、自動車保険、クレジットカードの付帯サービスを順に確認してください。特約として付いていることが多い保険です。見つからなければ、保険代理店や保険会社に契約内容を照会すれば教えてもらえます。詳しくは水漏れと火災保険へ。
Q. 洗濯機を使ったときだけ下に漏れるようです。給水は止めました。他に何を見れば?
給水側だけでなく、排水ホースの外れ・防水パンの排水口のつまりなど排水側も確認してください。排水側の漏れはメーターに出ません。洗濯機の排水トラブルが参考になります。
Q. 管理会社の対応が遅く、水が止まりません。
自室側で止められるものは元栓で止めてください。共用部が原因で自分では止められない場合は、管理会社の緊急窓口に状況の悪化を伝えて対応を促しつつ、被害の記録を残し続けてください。専有部の応急対応であれば、当社のような業者が先に伺うことも可能です。
Q. 天井の張り替えなどの内装修理もお願いできますか?
当社の本分は水まわりの修理・漏水調査です。内装の復旧は原因の修理が済んでから、保険や管理会社の手配と合わせて進めるのが一般的な流れです。まず水を止め、原因を直すところからご相談ください。
まとめ|順番さえ知っていれば、水漏れは怖くない
マンションの水漏れは、①受ける、②(自室が原因なら)止める、③管理会社に連絡する——最初の30分はこの3つだけです。そのあと、写真で記録し、メーターで自室原因かを切り分け、保険を確認し、賠償の話は管理会社と保険を通して進める。順番さえ知っていれば、頭が真っ白になる出来事も、手順どおりに片づく「作業」に変わります。
読み終えたら、平時の今のうちに一つだけやっておいてください。玄関横のメーターボックスを開けて、自分の部屋の元栓の場所を確認しておく——いざという夜に、この10秒の下見が効きます。水の止め方は水の止め方ガイド、応急処置の全体像は応急処置ガイドへ。賃貸の費用負担は賃貸の水漏れ、費用は誰の負担?、保険の話は水漏れと火災保険で詳しく読めます。自室の水漏れの修理は、24時間いつでもご相談ください。



