冬の朝、蛇口をひねっても水が出ない——これは水道管の凍結です。氷点下の冷え込みが続くと、屋外やむき出しの配管の中で水が凍り、水が出なくなります。厄介なのは、凍結そのものより凍った管が破裂して水漏れを起こすこと。ここでは、凍る前にできる予防と、凍ってしまったときの正しい溶かし方、そして絶対にやってはいけない「熱湯を一気にかける」対処まで、順に解説します。
・凍結は氷点下・前夜の冷え込み・使わない配管や屋外・北面で起きやすい・凍る前は「水を細く出す・保温する・水抜きする」の3つ・凍ったら自然解凍かぬるま湯をタオル越しに。熱湯は破裂・ひび割れの原因で厳禁・破裂・水漏れしたら、まず止水栓を閉める
水道管が凍るのは、どんなときか
水道管が凍結するのは、いくつかの条件が重なったときです。あてはまるほど、凍るリスクが高くなります。
- 気温が氷点下になる:目安として、外気温がマイナス4度を下回ると凍結が起きやすいと言われます。マイナス4度前後でも、条件が重なれば凍ります。
- 前夜からの冷え込みが続く:一晩じゅう気温が下がり続けた朝は要注意。夜のうちに、動いていない管の中の水がゆっくり凍っていきます。
- しばらく使っていない配管:水が流れていない管ほど凍りやすい。旅行や帰省で家を空けた朝、久しぶりに使う水回りが出ないのはこのためです。
- 屋外・むき出しの配管:外の立水栓、給湯器まわりの配管、外壁に沿って露出している管など、冷たい外気に直接さらされる部分から凍ります。
- 家の北面・日の当たらない場所:北側や、建物の影になって一日じゅう日が差さない場所の配管は、昼になっても温まらず凍ったままになりがちです。
逆に言えば、これらの条件に当てはまる配管を前もって守っておけば、凍結の多くは防げます。次から、凍る前にできる予防を見ていきましょう。
凍る前の予防①:水を細く出しっぱなしにする
いちばん手軽で効果が高いのが、水を少しだけ出し続ける方法です。冷え込みが厳しくなりそうな夜、蛇口を鉛筆の芯くらい、あるいは4ミリほどの細さでチョロチョロと出しておきます。
水は流れている限り凍りにくく、わずかでも動かしておくことで管の中で氷が育つのを防げます。出しっぱなしにした水は、バケツや洗面器に受けておけば、翌朝の掃除や洗濯に回せて無駄になりません。
とくに、前夜の天気予報でその日の最低気温がマイナス4度を下回りそうなときや、屋外の配管が心配なときに有効です。数時間で使う水道代はごくわずか。破裂して修理を呼ぶことを思えば、はるかに安上がりな備えです。

凍る前の予防②:配管を保温材やタオルで包む
むき出しの配管は、冷たい外気に直接触れないよう包んでおきます。ホームセンターで手に入る保温材(配管用の保温チューブ)を巻くのが確実ですが、間に合わなければ古いタオルや布、毛布でも代用できます。
- 屋外の立水栓、給湯器につながる配管、外壁沿いのむき出しの管などを、すき間ができないように巻きます。
- タオルや布で巻いた場合は、上からビニールやテープで覆い、雨や雪で濡れないようにします。濡れた布は、かえって凍って逆効果になることがあります。
- 立水栓には、専用のカバーや保温材が市販されています。毎年凍る場所があるなら、シーズン前に備えておくと安心です。
保温は「熱を加える」のではなく「冷えを遅らせる」対策です。極端な冷え込みでは保温だけでは足りないこともあるので、次の水抜きや、細く出しっぱなしと組み合わせると効果が上がります。
凍る前の予防③:長く家を空けるなら「水抜き」
旅行や帰省で数日家を空けるとき、あるいは寒冷地では、配管の中の水そのものを抜いておくのが最も確実な予防です。中に水がなければ、凍りようがありません。
寒冷地の住宅には「水抜き栓(不凍栓)」が備わっていることが多く、これを操作して配管内の水を抜きます。設備によって手順が違うため、まずは家の水抜き栓の位置と使い方を確認しておきましょう。
- 元栓(止水栓)を閉める。
- 家じゅうの蛇口を開けて、管の中に残った水を出しきる。
- 水抜き栓がある場合は、説明にしたがって操作する。
戻ってきて使うときは、蛇口を閉めてから元栓を開け、少しずつ通水します。仕組みや操作に不安があるときは無理をせず、家の設備に詳しい人や専門業者に確認してください。
凍ってしまったら①:まずは自然解凍を待つ
朝、蛇口から水が出ない——凍結したとわかったら、あわてないことが第一です。日が高くなり気温が上がれば、自然に溶けて水が出るようになることがほとんどです。急がないなら、まずは待つのがいちばん安全な方法です。
このとき、凍った蛇口は開けたままにしておきます。溶けはじめた水の逃げ道を作っておくことで、管の中の圧力が上がりすぎるのを防げます。日が当たる場所なら、昼前後には自然に通り始めることが多いでしょう。
ただし、待っても溶けない・急いで水を使いたいという場合は、次の「ぬるま湯でゆっくり溶かす」方法に進みます。その際、絶対にやってはいけないのが熱湯です。理由はこのあと詳しく説明します。
凍ってしまったら②:ぬるま湯をタオル越しに、ゆっくり
急いで溶かしたいときは、凍っている部分にタオルを巻き、その上からぬるま湯を少しずつかけます。手順はこうです。
- 凍っていそうな配管や蛇口に、タオルや布を巻きつける。
- その上から、40度前後のぬるま湯をゆっくり、少しずつかけていく。
- 下(低い側)から上へ、あるいは蛇口の根元のほうから、じわじわと温める。
- 溶けはじめたら、蛇口を少し開けて水が通るか確かめる。
ポイントは、タオル越しに・ぬるま湯で・ゆっくりの3つ。タオルをはさむことで熱がやわらかく伝わり、急激な温度変化を避けられます。ドライヤーの温風を、少し離して当てる方法も有効です。焦らず、時間をかけて溶かすのが安全に直すコツです。
絶対にNG:熱湯を一気にかけると「破裂・ひび割れ」
凍った配管を早く溶かしたい一心で、熱湯を一気にかけるのは絶対にやめてください。これは凍結対処で最もやってはいけない失敗です。
キンキンに冷えて凍った金属やプラスチックの管に、いきなり熱湯をかけると、急激な温度差で管や蛇口がひび割れたり、破裂したりします。ガラスのコップに熱湯を注いで割れるのと同じ理屈で、冷えきった配管は熱の急変にとても弱いのです。
いったん管が割れれば、氷が溶けた瞬間に勢いよく水が噴き出し、凍結どころではない水漏れ被害になります。壁の中や床下の見えない配管で起きれば、気づいたときには床や天井が水浸し、ということにもなりかねません。溶かすときは、必ずぬるま湯で、タオル越しに、ゆっくり。この鉄則だけは守ってください。

破裂・水漏れしてしまったら、まず止水栓
凍結で配管が破裂した、あるいは溶けたら水が漏れてきた——そんなときは、まず止水栓(元栓)を閉めて、水を止めるのが最優先です。水を止めなければ、被害はどんどん広がります。
- 元栓(水道メーターの横にある止水栓)を閉める。多くは屋外のメーターボックスの中にあります。時計回りに回すと閉まります。
- 漏れている場所がわかれば、タオルやバケツで受けて、被害を最小限に抑える。
- そのうえで、修理を依頼する。
破裂した配管の交換や、割れた蛇口・接続部の修理は、応急処置では止めきれないことがほとんどです。水漏れ修理はおおよそ¥5,500〜が目安ですが、破裂の程度や場所によって変わります。作業前に必ず総額を提示しますので、まずは水を止めてからご相談ください。詳しくは水漏れ修理の費用相場もあわせてどうぞ。
給湯器の凍結も防いでおく
冬に見落としがちなのが、給湯器とその配管の凍結です。屋外に設置された給湯器は外気にさらされているため、本体につながる配管が凍ると、お湯が出なくなります。
- 多くの給湯器には凍結防止機能が備わっており、電源を入れたままにしておくと、寒いときに自動でヒーターやポンプが働いて凍結を防ぎます。冬の間は、給湯器の電源を切らないでおきましょう。
- 浴槽のお湯を抜かずに残しておくと、追いだき配管の凍結防止機能が働きやすくなる機種もあります。取扱説明書を確認してください。
- それでも心配な厳しい冷え込みの夜は、給湯器につながる配管にも保温材を巻き、必要なら水を細く出しておきます。
もし給湯器や配管が凍ってお湯が出なくなったら、こちらも自然解凍を待つか、ぬるま湯をタオル越しにかけて溶かします。給湯器のお湯が出ないトラブル全般は給湯器のお湯が出ないもあわせてご覧ください。
戸建て・持ち家でとくに気をつけたいこと
戸建てや持ち家では、屋外にむき出しの配管が多く、凍結対策は自分で守る範囲が広くなります。次の場所は、シーズン前に一度チェックしておくと安心です。
- 庭や勝手口の立水栓:屋外でいちばん凍りやすい場所。保温カバーや水抜きで守ります。
- 給湯器まわりの配管:前述のとおり、電源を入れたままにし、必要なら保温します。
- 北面・日陰の外壁沿いの配管:一日じゅう日が当たらず、昼になっても溶けにくい場所です。
- 床下や、断熱の弱い場所を通る配管:見えないぶん気づきにくく、凍結・破裂に気づいたときには被害が広がっていることも。
また、古い住宅では配管そのものが経年で傷んでいることがあり、凍結の衝撃で弱った部分から漏れやすくなります。配管の寿命や更新の考え方は配管の寿命と築年数もあわせてどうぞ。屋外配管の凍結・破裂の修理や、蛇口の交換が必要なときは蛇口・水栓の交換もご相談ください。
よくある質問
Q. 何度くらいから凍結を心配すればいいですか?
目安は外気温マイナス4度。これを下回りそうな夜は、水を細く出す・保温するなどの備えをおすすめします。マイナス4度前後でも、風が強い・前夜から冷え込みが続く・屋外のむき出し配管、といった条件が重なると凍ることがあります。
Q. 水を出しっぱなしにすると、水道代が心配です。
鉛筆の芯ほどの細さで数時間なら、かかる水道代はごくわずかです。受けたバケツの水は掃除や洗濯に回せます。破裂して修理になることを思えば、十分に安い備えです。
Q. ドライヤーで溶かしてもいいですか?
問題ありません。温風を少し離して当て、ゆっくり温めてください。熱風を一点に近づけすぎず、全体をじわじわ温めるのがコツです。
Q. 凍って水が出ませんが、放っておけば溶けますか?
日が高くなり気温が上がれば、自然に溶けて出ることがほとんどです。急がないなら、蛇口を開けたまま自然解凍を待つのがいちばん安全です。急ぐときはぬるま湯をタオル越しにかけてください。
Q. 溶けたら水漏れしてきました。管が割れたのでしょうか?
凍結で管や接続部が割れた可能性があります。まず元栓(止水栓)を閉めて水を止め、被害の広がりを抑えてからご相談ください。応急処置では止めきれないことがほとんどです。
Q. マンション・賃貸でも凍結対策は必要ですか?
建物や階数によりますが、最上階・角部屋・北面や、屋外に近い配管は凍ることがあります。共用部の配管が原因の凍結・破裂は管理会社・大家さんの範囲になることが多いので、まずは管理側に連絡してください。
まとめ|凍る前の備えと、熱湯だけは絶対NG
水道管の凍結は、氷点下・前夜からの冷え込み・使わない配管・屋外やむき出し・北面といった条件が重なると起きます。凍る前の備えは、水を細く出す・配管を保温する・長く空けるなら水抜きするの3つ。冷え込みそうな夜に手を打っておけば、多くは防げます。
凍ってしまったら、あわてず自然解凍を待つか、ぬるま湯をタオル越しにゆっくり。熱湯を一気にかけるのだけは絶対にNG——急な温度差で管が破裂・ひび割れし、かえって大きな水漏れを招きます。もし破裂・水漏れしたら、まず止水栓を閉めて水を止めてから、修理を依頼してください。給湯器は冬の間、電源を入れたまま凍結防止機能を働かせておきましょう。愛知・岐阜・三重で凍結・破裂・水漏れにお困りのときは、24時間受付でご相談を承ります。



